公開講座 特別講演

噛んで食べることは

生涯の宝物

茨城県土浦市ウエハマ歯科医医院院長

日本歯科大学生命歯学部客員教授

明海大学歯学部臨床教授

上濱 正


日本顎咬合学会の次期理事長に決定しております 上濱 先生 をお迎えし、「噛んで食べることの生涯にわたる重要性」をわかりやすく解説します。 

お口の健康がお子様から高齢者まで生涯にわたる明るく元気に生きる源であることがわかってきました。特に「噛んで食べる(咬合・咀嚼)」こと、すなわち何でもおいしく食べて消化吸収して、元気な体を作ることは生涯の宝物です。

 噛む、食べる、飲み込む、話すなどの口腔機能の情報が、顔面にある12対の脳神経から脳全体に伝えられます。

よく噛んで食べれば脳を刺激し、脳血流が増します。唾液とよく混和された食物は消化管で分解され小腸で再吸収されて全身の新陳代謝を促し、健康で元気な体を育み、維持してくれます。

 母乳で育て、正しい方法、栄養バランスで離乳食を食べさせ、しっかり噛ませてむし歯にしないこと。幼児期に自然の味覚で「地球の味」を覚えさせ、むし歯を作らないこと、すなわち、ホップ30(3歳)、ステップ60(6歳)、ジャンプ1200(12歳)でむし歯なし。健康なお口は脳全体を刺激してその情報が生涯において健康の宝物として蓄積されます。

成人期はむし歯、歯周病、歯の欠損などを早期に治療し、咬み合わせを良い状態に維持し、噛み応えのあるものを30回噛むこと。

高齢期は残った歯を大切し、口腔を清潔にして、入れ歯でよく噛める環境を維持すること。すると高齢者の食生活、生活習慣に適した健康な頭と体を取り戻します。脳血管障害、痴ほう症などの患者でも、軟らかい食事(介護食)から徐々に噛み応えのある食事を応用した「食事による総義歯リハビリテーション」を行うことで元気で幸福な生活を取り戻すことが報告されている。

「噛んで食べることの生涯にわたる重要性」をわかりやすく解説しますので「すごくおいしいお口の最新情報を味わってみてください」。